賠償金請求の基本

自転車の交通事故による賠償金請求でも弁護士相談が基本


自転車は自動車と違って公道を走るのにも免許が要らない便利な乗り物ですが、道路交通法上は「車両」の一種と位置付けられており、暴走行為や不注意な運転によって走る凶器となり得ることは周知のとおりです。

全国で年間に発生する60万件以上の交通事故のうち、自転車が関与しているものは件数として約2割にも及んでおり、特に近年では対人の交通事故が問題となっています。

このため、警察庁が中心となって2013年に行われた道路交通法の改正では、公道の逆走禁止や悪質運転者への安全講習の義務付けなどが新たに定められており、各都道府県警察でも、自動車と同様の赤キップでの取り締まりを始めるなど取組みを強化しています。

こうした動きと対をなしているのが、走行中に交通事故に発展した場合の賠償金の高額化という風潮です。

近年では、小学生が夜間の坂道で歩行中の女性に追突し、被害者に意識不明の障害を与えた事案について、加害少年の母親に約9,500万円の支払いを命じる判決が下されたほか、ペットボトルを片手に減速せずに坂道を下って女性と衝突し死亡させた事案に約6,800万円の賠償金が言い渡されるなど、裁判事例には注目すべきものがあります。

一般的なイメージとはかけ離れたこうした高額請求の判例を見ると、自転車だから大丈夫という予断はもはや許されず、相手を死傷させた場合には刑事上の重過失致死傷罪が適用され、民事上でも被害者に対する賠償金の支払い義務が発生するということを、常に念頭に置かなければなりません。

現在ではあらかじめ対人1,000万円までの補償が付与されている基準適合TSマーク付きの車体もありますが、判例と比較すると、万が一の交通事故を想定した備えとしては不十分であるといわざるを得ません。

このように、交通事故を起こしてしまった場合には、高額の損害賠償を巡るトラブルに発展する可能性が極めて大きいことから、自動車事故の場合と同じように、法律の専門家である弁護士に相談をして、法律上の適切な解決策を検討する必要があります。

特に、坂道でスピードを落とさない、片手で運転していたなどのように、加害者の側に相当の落ち度があったかどうか、また被害者の側にも物陰から急に飛び出したなどのような交通事故を引き起こす落ち度がなかったかどうかという、双方の過失割合の認定についても、裁判上はきわめて重要になるといえます。

こうした専門的な観点から交通事故を分析して裁判上の主張を組み立てるのは知識のない一般人には難しく、弁護士の力が必ず求められるシーンであるといえます。